家族がガンになって知ったこと

自分が経験したことを残すことで、同じ状況になった人に少しでも参考になればと思い、いつかこのテーマで書こうと思っていました。でも、少し仕事がバタバタしたりで、頭の片隅に「書かないと」という思いはありつつも、今日まで画面に向かうことができませんでした。

なぜ今書こうと思ったかというと、理由は2つ。1つは、今日、母の検査結果が出て、ほぼ根治と認められたから。もう1つは、先日、まだ20代前半の後輩にガンが見つかったから。後者が「書かないと」という思いを強くさせ、前者のこのタイミングで書くことにしました。

経緯

経緯としては、2010年に、自分の母親に大腸ガンが肝臓と肺に転移した状態(ステージ4)で見つかり、手術と抗ガン剤治療を続けてきた、という話です。途中までの経緯はこちらを見てください。

その後の経緯

上記の時点では、大腸ガンは取り除き、抗ガン剤で肝臓のガンを小さくすることができ、手術が可能になった、という状況でした。その後ですが、7時間ほどかかった手術で肝臓のガンを取り除くことができ、その数ヵ月後には肺のガンも取り除くことができました。これで、見た目上のガンはすべて無くなりました。ただ、ガンの根は残っているという理由で、飲むタイプの抗ガン剤を1年間続けることになりました。副作用などはありつつも再発などはなく、1年ちょっとが経過し、今年2013年の年明けに抗ガン剤治療が終わりました。そして今日、抗ガン剤をやめてから初めてのCTとPETの検査結果が出て、何も再発の傾向は無く、ほぼ根治でしょうということになりました。いろいろとご心配いただいた方々には本当に感謝しています。ありがとうございます。個人的には、孫の顔を見せることができて本当に良かったと思っています。

趣旨と注意点

全くガンについての知識が無かった自分と家族がバタバタと行動し、知ったことを残すことで、突然同じ状況になった人の役に少しでもなればと思っています。ただ、同じことをやれば同じ結果になるかというと、それは分かりません。ガンの種類や他の病気の有無、薬が効きやすいか効きにくいかなど、いろいろなことが影響してくるため、全く同じ結果にはならないと言った方が正しいかもしれません。それでも、自分自身がこの状況になったとき、わらにもすがる思いで検索し情報を集めたので、この記事が同じ状況になった人の一筋の光になることができればいいなと思っています。

家族がガンになって知ったこと

生存率は参考程度に

調べていくといろいろなデータが公開されていて、どこにできたガンかによって生存率が異なることや、ステージ(ガンの進行度合い)によっても生存率が異なることを知りました。私自身、いろいろなデータを見てショックを受けたりしました。母の場合、ステージ4というかなり進行した状態で見つかったため、他の場合と比べてかなり生存率は低かったからです。ただ、5年後や10年後の生存率というデータは、後述する医療の進化に伴う最新の治療を受けた患者さんのデータは反映されていません。また、その人が他にどんな病気を持っているか、たとえば糖尿病があるかないかなどによって、治療方法が異なってきます。そのため、データはあくまでも参考として受け取った方が良いと思います。なにより、その方が精神的に健康でいられます。運が良かったとはいえ、私の母はステージ4から根治まできたという事実もあります。何より大事なのは、患者自身が生きる希望を少しでも持てる環境を作ることだと思います。ですので、家族のみなさんは、悪い情報も目にすると思いますが、良い情報にも目を向けてほしいと思います。

日々医療は進化している

私は10年ほど前に、叔父を大腸ガンで亡くしています。そして、今回は母が同じ病気になりました。しかし、その治療方法は全くと言っていいほど異なるものでした。母の場合、幸いにも他の病気が全く無かったため、最新の抗ガン剤治療を受けることができました。鎖骨あたりにポートを埋め込み、そこから抗ガン剤を入れるという方法だったのですが、1回に6種類ほどを投薬しました。それぞれ、標的を絞って狙い撃ちする薬や、少しずつガンをやっつける薬など、役割がありました。それを休みを挟んで繰り返しました。いろいろと調べると、この6種類ほどの薬のうち、4種類ほどは、ここ数年で認可されて使えるようになったものでした。叔父のときには、2種類ほどしか無かった薬が、今は6種類ほどに増えているということです。冷静になれば、私たちが日々仕事をしているように、日々ガン研究をしている人がいるので、進化するのは当たり前なのですが、突然家族がガンと言われるとそのような希望は考えられなくなってしまいます。今は無くても、新しい治療法が出てくる可能性が十分にあり、それは1年や2年のレベルであり得るということは、希望として持っておいてほしいです。このことからも、上記の5年後や10年後の生存率というデータは、参考として受け取っておいてもらえればと思います。

病院によって治療方針や考え方は異なる

これは、他の病院のことは分からないのでハッキリしたことは言えないですが、ガン研究が進んでいて最新の治療に取り組む病院や、ある程度経って問題ないと判断してからその治療方法を取り入れる病院など、いろいろな病院があるそうです。国立がんセンターのサイトに、連携拠点病院などの情報もありますので、ご確認ください。

信じるものを決める

ここまで、病院での治療について書きましたが、何か他にできることは無いかといろいろ調べました。本屋にもいろんな本がありますし、Web上にもいろんな情報があります。平常心では無かったと思いますが、そんな中でも「これさえやれば治る」のようなものは怪しく思え、避けました。そんな中で、先輩からこの本をいただき、これは理にかなってるな、と思い、この先生の考え方を信じることにしました。

人の細胞は数ヵ月ですべて生まれ変わるとのことで、その新しい細胞を作る原点は食事であり、その食事を体に良いものにすることで、体質を改善していくという考え方です。実際に、この食事の効果がどの程度あったかは、今も分かりません。もしかしたら、抗ガン剤だけでも同じ結果だったかもしれません。ただ、理にかなっていると納得できるものを、信じて行うことに、意味があったと思っています。Excelで「食べるもの」と「食べないもの」を一覧にして、印刷し、実家の台所に貼った紙は、水が飛んだりで文字がにじんでますが、今もそのまま貼ってあります。

継続できることをやる

これは、主に経済面での話です。上記の「信じるもの」を決める際に、それが1年・2年と続けることができるか、考えてみてほしいです。我が家では、まだ平常心になる前に、体に良いという少し高額なドリンクを飲むことに決めてしまいました。病気が見つかってすぐでしたので、あと数ヵ月でいなくなるかもしれないという危機感があり、中長期的に考えることができませんでした。いざ病院での治療がはじまり、入院して手術をしたりすると、病院関連だけでも大きな費用がかかってきます。(後で戻ってくる分もあります。そちらについてはこちらを参考にしてください。高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)一度始めてしまうと、「これをやめたら悪い方向にいくのではないか」と思ってしまい、やめることができなくなります。順調に経過しているときほど、やめにくいものです。何かを信じて希望を持つことは非常に大事と思うのですが、それが1年・2年・5年と続けても経済的に問題がないか、冷静になるのは難しいと思うのですが、始める前に一度考えてみてください。


非常にセンシティブなテーマで、責任を持てないことを書くわけにいかないので、ためらっていたというのもあるのですが、この記事がいつか誰かの役に、少しでも立つことを祈っています。ご心配いただいた皆様、本当にありがとうございました。